2020年6月21日日曜日

エアロパーツを自作したい。~寄り道編①~

ついに届いた3Dプリンター



5月下旬に発注ししていた3Dプリンタが6月はじめにようやく届きました。

私が購入したのは「TRONXY  X5SA」というよくある中華性3Dプリンターになります。
御覧の通り自分で組み立てる必要がありますが、最大の特徴は印刷造形物の大きさでしょうか!

ということで早速組み立てていきます。



細かい手順は割愛しますが、フレームを組み立てて~



諸々の部品を取り付ければ完成です!












※画像では2工程ですが、実際は割と時間がかかりました。
仕事が終わって寝る前に作業を始め、だいたい4日程かかりました。(計6~7時間)

レビューにも書かれていましたが、初心者が手を出すプリンターではない。
という意味を身をもって知りました。


試しに印刷してみる!

なんとか数日かけて組み立てたプリンターが完成し、
深夜ではありますが早速テストプリントしてみました。

自分で組み上げた物が動き始める瞬間は、いつも不安と期待が入り混じったワクワクを
感じますね!

結果は…

組み立てミスにより危うくX軸モーターが焼き切れるところでした…

ミスした箇所を修正し、まず印刷したのはとても小さな「10mm角ワッシャー」
既にAM1:00を回っていたのでササッと手軽にモデルを作り試行錯誤でプリント開始!



すごーく小さいものが5分かけて生み出されました…。



単純な形状、小型ではありますが深夜テンションもあり感動を覚えました。
が…何か変。思ったよりペチャンコ。



ペリっと剥がした造形物の跡がどうしても取れません。
なんだコレ…
後から原因が分かりましたが、成型ノズルとビルドプレートのクリアランスが小さすぎた為、プレートを溶かしてしまったようです。







3Dプリンターで印刷する難しさの洗礼を受ける結果になりました。




まとめ


何もかもが初めて尽くしの経験で、基本的に手探りではありますが
無事3Dプリンターを組み上げ印刷が出来る状態になりましたが、
まだまだ課題は多く困難が続くことが容易に予想できます。

しかしゆっくりと目標に近づいている感覚は不安よりワクワクが勝っていますね(笑)


次回、寄り道編②エアコンフィルター印刷編!

2020年6月17日水曜日

エアロパーツを自作したい。~3Dモデリング完成編!~

3Dモデルの分割



前回実測値から3Dモデルを作りましたが、そのまま3Dプリンタで印刷!
とは行きません。

何故なら、私が購入できる範囲で買えるプリンタでは最長距離650mmあるこのモデルを
一発で印刷出来ないからです。

ということで印刷できるサイズに分割することにしました。




2分割か3分割か

構成パーツを少なくできればその分強度も上がります。3分割は最終手段ということで、
まずは2分割です。



・第一案



とりあえずこの辺が真ん中だろうと思った箇所でスパっと切断。

切りっぱなしだと接合するときに苦労しそうなので、凸凹勘合出来るように突起物を
設定しました。

が…

3Dプリンタ(FDM式)で印刷する場合、出来る限り空中に浮く箇所(オーバーハング)が無いように作った方が精度が上がるとの事。没案となりました。






・第二案




ということで次の案はパズルのように方形に切り欠いたデザインに。
これなら精度の不安も取り除かれ完成!
と思ったのですが、勘合時にZ軸方向のズレと強度が確保出来ない懸念が…

没になりました。



・第三案




今度はZ軸方向の耐久性と精度を視野に入れ、分割モデルそれぞれ互い違いに勘合できるようデザインしました。
この案であれば印刷後の勘合も各方向の耐久性もクリアできる!と思ったのですが、
直線的な切り欠きと突起は強度不足になる可能性を指摘された為、没に…

しかしこのデザイン案が最終モデルの礎となりました。



・第四案




そして辿り着いたのが第二案を進化させたデザイン。
方形では不安だったZ軸方向への負荷を分散させるために台形デザインへ。
バチッとはまれば勘合時のズレも少ないだろうと考えました。

木材の継ぎ方で「蟻ざねはぎ」という技法だったと数日後に知りました。
無知っておそろすぃ。



そして第四案をもって3Dプリントを決行することにしました。

スライサーソフト「CURA」を使用し、プリンターに送るデータを作っていきます。






予想してましたが入りませんでした(泣)



更にどう頑張っても片方のモデルが入りません(泣)

3分割にするしかないようです。




・第五案


第四案の片方を更に分割。

全く美しくありません。

作っていて溜息しかでませんでした。




やっぱり2分割が良い

第五案であれば間違いなく印刷できるのですが見れば見るほど悲しくなりました。

どうにかして2分割にできないかcuraとFusion360を眺め続けていて気付きました。

「最初にモデルを切った箇所、適当すぎたのでは?」

初心者にありがちな、根拠のない「適当」。
反省しつつ最適箇所を測定し、なんとか2分割でプリントできる箇所を見つける事が出来ました。





・第六案


切断箇所を再設計するにあたり…
やはり気になっていた勘合時のZ軸方向へのズレを解消するため第四案を更に進化させました。
「蟻ざねはぎ」から「蟻型相欠け継ぎ」+M4ネジ穴加工です。

今更気付いたのですが、どうせ自分でデザインしますし…
最初から穴を開けておけば組付け簡単に出来る!という楽したい発想の体現です。




そして完全に両パーツ共、プリント可能範囲内に収めることが出来ました!
ここに辿り着くのに2週間以上費やしました。頑張った!





・第七案(最終型)



第六案で気付いた「最初から穴開け作戦」を更に追加した形になります。
どうせならボディに取り付ける穴も開けちゃえ☆的なノリで複数個所に丸穴を設置。

しかし適当に開けた丸穴だけでは車体に取り付ける際シビアになるのでは?
という懸念から、各穴を横穴に拡張。

ついでに蟻型継ぎの面積を拡張し4本のネジで止めれるようにしました。

これにて最終型(ベースエアロ)の完成です!





まとめ

ほぼ一ヵ月かけて3Dモデルをデザインしていました。
最初はぎこちなかった3DCADも、日が経つにつれ上達していくこの感覚は
30代になってもまだまだ成長できるんだなぁという想いを抱かせてくれました。

3Dプリンターが届きましたので、ここからは実際に印刷を始める工程になりますが…

最初から大物を印刷するのはリスクが大きすぎますので、まずは小さいサイズの物で
試作品を作っていこうと思います。


次回、寄り道のエアコンフィルターフレーム編!




2020年6月6日土曜日

エアロパーツを自作したい。~作成方法決定編~

カーボンか3Dプリンタか

構想編から2週間ほど作成方法に悩んでいましたが、ある程度絞れてきました。

・カーボンクロスを用いた作成
1m*1mなら3000円程


ドライカーボンは流石に無理ですが、ウェットカーボンなら私にも出来そう!
ということで色々調べたところ方法としては二つ。

①ハンドレイアップ製法
ガラスマット、クロスで作成したものをベースにカーボンクロスを積層する。
文面を見ればとてもシンプル。しかしセンスと経験値は必要。
チクチクしそう、重そう(個人の感想)


必要なもの
ガラスクロス、マット、カーボンクロス、樹脂(レジン等)


②VaRTM(バキュームレジンインフュージョン)製法
名前が表す通り真空に保った空間にカーボンクロスを設置し、レジンを流し込んで成型する。
必要なものが①より多くなるが積層に使う樹脂が少なくなるので軽く作れる。
完全に含侵出来れば強度もケタ違いになるのは強み。

しかし作成の度に副資材を使い捨てる為、予算は上がる。


必要なもの
①に加え、真空ポンプ、キャッチポット、その他副資材(バギングバッグ、ピールプライ等)



・3Dプリンタを用いた作成

1m*1m*1mが印刷できる。1000万円。


クロスを使った作成方法ではどうしても発生してしまう廃棄物、チクチクガラスも
プリンタを用いれば殆ど出ない。

3Dプリンタが出始めた頃はロマンを感じたが、造形サイズが小さくマテリアルも選択肢が少なかった。
あと高かった。

月日が流れ10万円以下のプリンターでも大きなサイズで精密な造形が作れるようになり、
選択肢として急激に浮上。


しかし作成するには必要なものが多く、何より3Dモデリングの技術が皆無な私には荷が重い。CAD…名前は聞いたことあるけど…。

必要なもの
3DCADが出来るPC、CADソフト、3Dプリンタ



選んだのは3Dプリンタでの作成!


VaRTM製法を知った当初は、カーボンクロスとハニカムコアで造形しようと進めていたが、ある情報により3Dプリンタでの作成に舵を切りました。

決め手になったのはマテリアル。
なんとカーボンが練りこまれたナイロンを成型出来る手法が発見された事で、
耐熱耐久性への不安が解消されました。

3Dプリンタがあればエアロ以外のモノも作りやすいのは良いですよね!


初めて使う3DCAD


方向性を決めたのが5月初旬。
3Dプリンタを発注しましたが届くのは6月半ば。
届いてすぐに作成出来るよう3Dモデルを完成させねばなりません。

使用したソフトは初心者にも優しいオートデスクさんの「FUSION360」
商用利用はしない予定なので1年間無料で使えるのはありがたいですね。

とりあえず使い方も解らないまま手探りで使ってみます。



正確な大きさは構想編で作成した実測スケッチがあれましたのでその数値を元に…

最初は線を引く事すら難しい…


ちまちまとスケッチ…(1日かかってます。)

製図の授業を思い出しました。


















この段階で少しずつ慣れてきました。




なんとか全貌が出来上がる(3日かかってます。)

段々頭に描いた形が出来上がります。










バンパーから外に出る部分を計測し直し落とし込む(2時間かかりました。)

拘束?のせいで丸みを付けれず悩みました。










スケッチから厚みを出し、丸みをつけひな形の完成です!(3時間かかりました。)














まとめ

作成方法を決めてからは、見切り発車感は拭えませんが割と早く行動が出来ました。

何事も「頭の中で考え続けるより行動に移した方がいい。」と巷では聞きますが、
まさしくその通りだなぁと経験のないCADを触って実感しました。

プリンターを買ってしまった以上、もう後戻りはできません。

必ずエアロパーツの作成を実現します( ゚Д゚)ウボァー!


次回、3Dモデリング完成編!