2020年7月26日日曜日

エアロパーツを自作したい。~エアロパーツ接着、仕上げ編~

完成まであと少し…で、立ちはだかった壁


前回出来上がったパーツ達

前回の投稿で意気揚々と「次回、完成編!」と書きましたが、そう易々と事が運ぶはずもなく。

ナイロンが難接着素材の為に接着方法が限られており、強固な接着が可能なエポキシ系が
使えないという事実。


接着力に期待したが…


ネットの情報を頼りに近所のホームセンターで発見したセメダインちゃん。
殆どの素材を接着できると謳っていますが…

確かに接着できましたが、固まっても弾力のある素材で負荷がかかるとぐにょんぐにょん
しちゃいます。

そこで閃きが…!



スーパー溶接タイム!


煙が目に染みる


後日着手予定のエアロボード製作用に買っておいたホットナイフ件はんだゴテ。
印刷用のナイロンフィラメントをツナギにすれば一体成型みたいになるのではと
試したところ最高の結果に(*´Д`)






強度も期待以上なうえ、溶接後の凸凹も切削しやすい。
更に印刷で出来てしまった水膨れのような出来物も修正可能になりました!





ザックリ研磨は手では面倒。手持ちの電動ツールにて。
研磨作業が多くなるとオービタルサンダー欲しくなります。


数日悩みましたが、ナイロン接着の壁を超えることが出来ました!



嬉しい誤算発生!


接着行程もなんとかクリアし、完成までほんとのほんとにあと一歩!

溶接作業である程度の凸凹は修正できましたが細かい穴埋めにはパテを使用します。
が…、ナイロンに使えるパテが調べても出てこない!

調べても出てこないなら、当りをつけて実験開始です。



まずは100均にて練り練りエキポシパテを見つけましたので、使用不可と言われるナイロンに塗りこんでみます。



テストピースに試しに塗布すると…
まさかの普通にパテが喰ってます。

テストピース上部は厚塗りしましたが完全硬化するとびくともしない感じ
下部は120番のペーパーで研磨したところ。普通に使用可能やん!と
正に嬉しい誤算(*´▽`*)

試しにソフト99さんのバンパー薄付けパテも盛りましたが、こちらも問題ない感じです!

後は仕上げを残すのみ…塗料乗るんだろうか('ω')




最終仕上げは塗装かラッピングか


最後まで悩み続けた仕上げ方法。

塗装は準備が面倒で、ラッピングは未経験のため二の足を踏んでいたところ…

オートバックスにてラッピングシート売り場を発見!
全てが未経験で始めた今回のエアロパーツ自作。どうせなのでラッピングにチャレンジ
することにしました!


角度によって見える積層痕




早速テストピースに貼り付けてみると、平面なこともあり思った以上に貼りやすい!
しかし印刷積層痕がシッカリ見えてしまう…これは痕を埋めるか削るか必要ですね。


ある程度ラッピングシートの特性も解ったので最終仕上げに入ります!





パテを塗ってて感じたのが、バンパー用の薄付けパテはコスパが悪すぎる。
とてもチューブ一本では足りない。
ここまで来たらプラサフ500も試しに使ってみました…が単体では痕を埋めれず。

パテとプラサフを併用することで痕を埋める事が出来ました。
コスパがとんでもなく悪い(ノД`)・゜・。

ここでパテ等底をついてしまったと、124spiderにトラブルが発生したため一時中断となります!



まとめ

今回作業をしてみて分かったのが、パーツの素材であるカーボン複合ナイロンは
巷で使われているナイロンとは毛色が違うという事です。
使用不可と言われたエポキシも普通に使えましたし、なんならプライマーなしで実用出来る
レベルの塗装も出来ました。

ネットの情報より実体験が重要だなと改めて感じました('Д')

エアロパーツを作り始めてから結構な時間が経ちましたが、本当にあと少しで完成です!


次回、エアロパーツ完成、取り付け編!



2020年7月19日日曜日

エアロパーツを自作したい。~エアロパーツ印刷編その②~

本印刷の開始!




前回まではPLA樹脂を使用した印刷でしたが、今回ついに「PA樹脂」を
使用した印刷を開始します!

※PA樹脂=ナイロンになります。高耐熱、高強度、高耐久の夢のマテリアル!

前回までのプリンター設定で印刷するとぶっ壊れてしまうので主要部分をナイロン用に
交換と改造し、スライサーソフトの設定もナイロン用のステータスに変更し…

いざ印刷開始!




いつも通りまずはテストプリント


いきなり大物のエアロパーツを印刷するのは気が引けたため、恒例のエアコンフィルターフレームの印刷で様子を見ます。

PLAでの印刷でプリンタの扱いにも慣れたのでサクサク印刷開始し…


1回目は上手く出来なかったものの、2回目でばっちり成功!
ナイロンで作ったフレームは、PLAより柔軟性があるのに芯がある強さといった感じ。

噂通りの高い強度に期待は高まります。



側面の印刷も非常に良好。
心なしか積層痕も目立たず、このまま製品にできちゃうレベル。

テストプリントの結果も良好と判断、早々にエアロパーツのプリントに着手していきます!




始まったナイロン地獄


印刷途中で反って変形したパーツ(14時間)


テストプリントでは余裕すら感じたナイロンの印刷ですが、エアロパーツの印刷を
始めるのを見計らったかの如く牙を剥き私を悩ませます。


まず反る。すごく反る。

これはナイロンの構造が原因で、高温で吐出された状態から冷え固まるときにとんでもなく
収縮するからでした。

テスト印刷時点で反りを計算した設定にしてはいましたが、印刷面積及び造形物があまりにも大きい為太刀打ち出来ませんでした…


盛大に剥がれたパーツ。(14時間)


接着力を高めるため、印刷台の温度を+10℃に上げ
スティックノリを塗りたくるも効果なく。


夜中に反りすぎて滅茶苦茶に…(15時間)


反ったパーツに印刷ノズルが当たり、バグる。


さらに強固に接着力を高めるため土台の印刷面積を広げる設定にするも、夜中のうちに
剥がれてしまい見るも無残な姿に。

印刷をスタートする時間帯は夜寝る前なのですが、この辺りから朝起きて印刷物を
確認するのが怖くなり…
失敗する夢を何度も見る羽目になりました。


ピタっと吸い付くパーツ(12時間)


そこで反る原因は印刷台から離れた箇所の収縮にあるのでは?と仮説を立ました。

後述しますがナイロンの高強度を目の当たりにする機会があった為、
パーツの底面と上面の厚みをうす~~く設定+パーツの充填率を10%から5%に。


密度は減るが反りも減る!


これにより「反らない」+「軽量化」+「印刷時間の短縮」を一挙達成することが出来ました。


無数の凸凹、ちょっと気持ち悪い。


しかし充填密度を5%に下げた弊害が発生。
パーツ上面の印刷が上手くいかず水膨れのような症状が多発。

原因は単純にパーツ内部の充填密度不足。反りを取るか表面の奇麗さを取るか…
まさに二律背反、ここまでナイロンが難しいとは…。




成功のきっかけは突然に…

ナイロンの印刷を開始してから2週間ほど経過。
失敗したモデルは7個目に突入。失った時間は100時間弱…

気分転換に、反りや密度と関係のない設定を弄り遊んでいたところ

「サポートブロッカー」という機能を発見。
この機能はサポートを作りたくない場所に任意にオブジェクトを配置し、印刷物の
ステータスを変更するものです。

※サポート=印刷モデルで空中に印刷する箇所がある場合、垂れてこないように作られる支柱。

この機能を使えば途中から密度を任意に変えれるのではと思い付き設定。


内部は絡み合ったスパゲッティシンドローム

画像のように5%充填密度の上に10%充填密度のブロッカーを配置。
印刷モデルの内部はカオス状態です。

この設定でテストピースを印刷すると殆ど凸凹が発生しませんでした!いける!


目が痛くなる内部の充填形状。



早速エアロパーツにも採用し、印刷開始。

ナイロン地獄に堕ちてからどれくらいの時間が経ったでしょう…

ついに

下側が成功したパーツ


凸凹も殆どなく


上側が成功したパーツ


反りもないパーツが完成しました(ノД`)・゜・。



まとめ

3Dプリンター系の記事やブログを拝見していて、ナイロンを使用されている方が少ない
理由を今回身をもって知りました。すごい難しいもん。

やっとの思いで作り上げたナイロン製のエアロパーツ部品。
完成までの行程は残すところ「接着」と「塗装orラッピング」のふたつ。

目標である梅雨明けまでの完成も達成出来そうです!


次回、フロントスポイラー完成編!



おまけ

ナイロンの強度を実感した動画です。
スクレーパーの尖った部分を割と本気で突き刺しましたが、貫くことは勿論傷も殆ど付きませんでした。



ないろん つよい




2020年7月13日月曜日

エアロパーツを自作したい。~エアロパーツ印刷編その①~

ついにエアロパーツ印刷開始!



エアロパーツの構想(妄想)を始めてから約3か月。
前回の投稿~寄り道編②~で印刷のコツを掴み、準備も整った為目標であった
赤丸部分の印刷を開始しました!




2分割エアロの印刷

~3Dモデリング完成編~にて作成したモデルをスライサーソフトで変換。
プリンタの調整を決めて印刷開始です。


・外周の出力が終わった時点で再認識しましたが、
やはりエアコンフィルターフレームとは段違いの大きさ。完成予定時間は12時間です。


・4時間程経過した状態。エアロパーツ内部は殆ど空洞です。
インフィル密度(内部の充填度合い)はデフォルトの20%。
かなり細かいグリッドが出来ていて見てて面白かったです。


・12時間経過後の状態。やっと内部の印刷が完了し上面の印刷を開始。
寝室に隣接する部屋で夜通し動いてましたが、動作音は殆ど聞こえず快眠できました。


・14時間経過後の状態。予定より2時間オーバーで印刷完了です!
初めて大物の印刷を終えましたが、フィルターフレームで練習した成果が実り
一発目で成功となりました!

重量は200g程度と微妙な重さ。強度は折り曲げる事が難しいくらい硬いです。
こんなに強度なくても大丈夫だろうと判断し、次のパーツは設定を変えて印刷します。




・サクッと2パーツ目の印刷開始。
今回はインフィル密度を10%まで下げた為、内部のグリッドがかなり大きくなりました。
印刷時間も最初に印刷したパーツより大きいのですが、14時間の予定になってました。



・15時間30分後に完成。予想より遅くなるのは分かってましたが完了まで長い…
あんなに大きいグリッドだったので上面の印刷に不安を覚えましたが奇麗な状態で
完成しました!



・片側の2分割パーツが完成すると待ちきれなくなり仮合わせしてきました!
実際目の当たりにすると結構感動しました…!

この時点で修正する箇所を発見。
2分割を勘合するパーツのサイズが合わなかったため少し削ることに。
3Dモデルの方を少し改良し反対側の印刷を開始しました!





ついにエアロパーツのひな形が完成!




・そして更に30時間後…ついに両側が完成しました…!!
分割パーツはアクリル用の接着剤で固定し、車両にはタッピングビスにて仮付け。
インフィル密度を下げた事で片側のパーツ重量も300gとまぁまぁ軽量になりました。



・問題点は赤丸の箇所。
ボディ全幅の最外端よりは内側ですがバンパーからは2.5cm程はみ出ている状態。

突起物扱いになる可能性がある為要修正です。
あとはボディでの取り付け穴の位置が結構デタラメ+バンパー下部がフラットでは
無い為スペーサーが必要になりました。

実際取り付けてみると修正点が炙り出されますね…。





本印刷に向けての修正

流石に修正品を50時間かけて印刷するのは気が滅入るので、
このマテリアルでの印刷はここまでとしました。

修正箇所を雛形に書き込み…



・CADにてズバっと切り落とし完了!
取付穴も見直し、更にパーツの厚さを12mm→10mmに変更しました!
これにより印刷時間の短縮と軽量化を見込めます。




PLA樹脂の限界

今回エアロパーツの印刷が思いのほかトラブルもなく出来上がった為、これにて完成!
と思いきや…

それが出来ない原因があります。
理由は印刷に使ったPLA樹脂の融点が60度と低すぎる事です。

印刷完了当初はあまりにも強度があった為にわかには信じられなかったのですが、
試しに失敗作のエアコンフィルターフレームをダッシュボードに乗せて放置したところ…



一日放置しただけでこんなにメロンメロンのグニョングニョンに。
想像以上のヘタレ具合に驚きを隠せませんでした。

コレでは真夏の気温に耐えれるはずがない…







まとめ

今回印刷自体は失敗もなくスムーズに完了することができました!
プリンタが完成してから2週間ほぼ毎日稼働させ少しずつ経験値も貯まり個人的には
Lv2ぐらいになったなぁと実感しております。

しかしここまではチュートリアル。
少しだけ期待していたPLA樹脂が全く役に立たない事が分かった為、当初予定していた
マテリアル「PA樹脂」に切り替えていきます!

正直素人が扱えるマテリアルでない事はヒシヒシ感じてますが、ここまで来たら
チャレンジするしかないと腹を括り挑んで参ります!

目指せ梅雨明けまでにエアロ完成!かっこよくしてあげるぜ124Spider!



おまけ


娘ちゃんが持ってた彫刻用の粘土が余っていたので、試しにサイドフリップ?
オーバーフェンダー?の型を作ってみました。



124の特徴であるサイドマーカー部の造形をパスする為、一部凹ませるような造形に。
なんか複雑だけど是非作りたいなぁ



ついでにセンター部分も造形。適当にイメージしながら作りましたが、もう少し
内側にひっこめた方がカッコいい気がする。
そして左右パーツと繋げるより、あえて分離したフローティングセンターの方が
個性的でいいなぁ!

と妄想が捗るのでした!


おわり

2020年7月6日月曜日

エアロパーツを自作したい。~寄り道編②~

3Dモデルの印刷スタート!

寄り道編①からの続きになります。

どうにか3Dプリンターの組み立てが終わり、課題は残ったものの
テストプリントも出来たところで遂に3Dモデルの印刷にとりかかります。



印刷するのはコチラ。
純正のフィルターフレームを測定しCADでモデリングしたものになります。

ただしCADだけでは印刷する事が出来ないため、スライサーソフトである

「CURA」を使用していきます。




スライサーソフトでは印刷をする為の細かい細かい設定があり、最適解を見つけるのは
一苦労なのでまずはデフォルトの状態で…

その前に前回ビルドプレートが溶けた原因である印刷ノズルの隙間を再調整しつつ

印刷開始!!



自分がモデリングしたものが現実世界に生まれてくるのは一種の感動すら覚えます。




そして完成したエアコンフィルターフレーム! 
印刷一回目でかなり上手くいきました! 嬉しい!

これにてフィルターフレームの印刷が終わり、次回ついにエアロパーツを…


とはいかず…




完成したフレームをよく見ると、上手く積層出来ておらず剥がれてしまってます。
何が原因なんだろう…。





そして始まる失敗地獄

結果から申し上げますと7回ほど失敗に失敗を重ね、8個目でようやく完成しました。


転がる失敗作たち…




特に悩まされたのが初期レイヤーの印刷がウネウネしてしまう現象。
散々スライサーソフトの設定を調整をして対処できないか追及しましたが、

原因は単純、印刷ノズルとビルドプレートのクリアランスが大きすぎたことでした。
テストプリントでプレートを溶かしてしまった事がトラウマになりビビッてしまってました。


途中フレームデザインを更新しつつ…




そして完璧な印刷物が誕生…
しっかり積層され強度もバッチリでした!

ここまで来るのに2週間、とても長かった…。




まとめ

実際にプリンターを稼働させて思ったのが、小さなモデルを印刷するのにも
かなりの時間がかかる事。
そして完全に使いこなすには相当なトライ&エラーが必要な事でした。


割と本気で心が折れそうになりつつも、地獄のチューナー北見さんのポエムを
思い出しつつ、お風呂で次々改善案が出てきた時間はとても楽しい経験でした。


みんカラのパーツレビューには既に掲載済みですが…

次回エアロパーツ印刷編!