2020年7月19日日曜日

エアロパーツを自作したい。~エアロパーツ印刷編その②~

本印刷の開始!




前回まではPLA樹脂を使用した印刷でしたが、今回ついに「PA樹脂」を
使用した印刷を開始します!

※PA樹脂=ナイロンになります。高耐熱、高強度、高耐久の夢のマテリアル!

前回までのプリンター設定で印刷するとぶっ壊れてしまうので主要部分をナイロン用に
交換と改造し、スライサーソフトの設定もナイロン用のステータスに変更し…

いざ印刷開始!




いつも通りまずはテストプリント


いきなり大物のエアロパーツを印刷するのは気が引けたため、恒例のエアコンフィルターフレームの印刷で様子を見ます。

PLAでの印刷でプリンタの扱いにも慣れたのでサクサク印刷開始し…


1回目は上手く出来なかったものの、2回目でばっちり成功!
ナイロンで作ったフレームは、PLAより柔軟性があるのに芯がある強さといった感じ。

噂通りの高い強度に期待は高まります。



側面の印刷も非常に良好。
心なしか積層痕も目立たず、このまま製品にできちゃうレベル。

テストプリントの結果も良好と判断、早々にエアロパーツのプリントに着手していきます!




始まったナイロン地獄


印刷途中で反って変形したパーツ(14時間)


テストプリントでは余裕すら感じたナイロンの印刷ですが、エアロパーツの印刷を
始めるのを見計らったかの如く牙を剥き私を悩ませます。


まず反る。すごく反る。

これはナイロンの構造が原因で、高温で吐出された状態から冷え固まるときにとんでもなく
収縮するからでした。

テスト印刷時点で反りを計算した設定にしてはいましたが、印刷面積及び造形物があまりにも大きい為太刀打ち出来ませんでした…


盛大に剥がれたパーツ。(14時間)


接着力を高めるため、印刷台の温度を+10℃に上げ
スティックノリを塗りたくるも効果なく。


夜中に反りすぎて滅茶苦茶に…(15時間)


反ったパーツに印刷ノズルが当たり、バグる。


さらに強固に接着力を高めるため土台の印刷面積を広げる設定にするも、夜中のうちに
剥がれてしまい見るも無残な姿に。

印刷をスタートする時間帯は夜寝る前なのですが、この辺りから朝起きて印刷物を
確認するのが怖くなり…
失敗する夢を何度も見る羽目になりました。


ピタっと吸い付くパーツ(12時間)


そこで反る原因は印刷台から離れた箇所の収縮にあるのでは?と仮説を立ました。

後述しますがナイロンの高強度を目の当たりにする機会があった為、
パーツの底面と上面の厚みをうす~~く設定+パーツの充填率を10%から5%に。


密度は減るが反りも減る!


これにより「反らない」+「軽量化」+「印刷時間の短縮」を一挙達成することが出来ました。


無数の凸凹、ちょっと気持ち悪い。


しかし充填密度を5%に下げた弊害が発生。
パーツ上面の印刷が上手くいかず水膨れのような症状が多発。

原因は単純にパーツ内部の充填密度不足。反りを取るか表面の奇麗さを取るか…
まさに二律背反、ここまでナイロンが難しいとは…。




成功のきっかけは突然に…

ナイロンの印刷を開始してから2週間ほど経過。
失敗したモデルは7個目に突入。失った時間は100時間弱…

気分転換に、反りや密度と関係のない設定を弄り遊んでいたところ

「サポートブロッカー」という機能を発見。
この機能はサポートを作りたくない場所に任意にオブジェクトを配置し、印刷物の
ステータスを変更するものです。

※サポート=印刷モデルで空中に印刷する箇所がある場合、垂れてこないように作られる支柱。

この機能を使えば途中から密度を任意に変えれるのではと思い付き設定。


内部は絡み合ったスパゲッティシンドローム

画像のように5%充填密度の上に10%充填密度のブロッカーを配置。
印刷モデルの内部はカオス状態です。

この設定でテストピースを印刷すると殆ど凸凹が発生しませんでした!いける!


目が痛くなる内部の充填形状。



早速エアロパーツにも採用し、印刷開始。

ナイロン地獄に堕ちてからどれくらいの時間が経ったでしょう…

ついに

下側が成功したパーツ


凸凹も殆どなく


上側が成功したパーツ


反りもないパーツが完成しました(ノД`)・゜・。



まとめ

3Dプリンター系の記事やブログを拝見していて、ナイロンを使用されている方が少ない
理由を今回身をもって知りました。すごい難しいもん。

やっとの思いで作り上げたナイロン製のエアロパーツ部品。
完成までの行程は残すところ「接着」と「塗装orラッピング」のふたつ。

目標である梅雨明けまでの完成も達成出来そうです!


次回、フロントスポイラー完成編!



おまけ

ナイロンの強度を実感した動画です。
スクレーパーの尖った部分を割と本気で突き刺しましたが、貫くことは勿論傷も殆ど付きませんでした。



ないろん つよい




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